もうひとつの「DOOR」

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□ 月 (白昼夢「扉」スピンオフ) □

月 (7)

外に出ると、急に寒くなってきた。

キャミのひもが切れてるから、上着のボタンを全部しめて着てるのに。
もう、秋も終わりが近いんだな。

こんな格好で化粧も落ちてるし、誰かに見られるなんてありえない。

この前、携帯を捨てた川沿いの公園を通っていくことにした。

明日が平日のせいか、カップルの数は少ない。

やばいな・・・なんか震えがきてるし、頭痛い。
家に帰りたくないけど、立ってらんない・・・。

ちょっと先にあるベンチが、くらくらしてやたら遠く感じる。まじかよ。

もうちょっとで座れるってところで、目眩がして転びそうになった。

その時、急に横から手で支えられた。

「!?」

「あぶない。大丈夫?」

見上げると、あの時の天使・・・じゃなかった、くるくるパーマの男だ。

「どうしたの? 具合でも悪い?震えてるよ?」

なんで? どうしてこいつがここにいんの?頭、かなり混乱。

男はあたしをベンチに座らせて、自分も隣に座った。あたしは思い切って言ってみた。

「あの・・・さっきはホテルで・・・助けてくれて・・・ありがとう」

「え? 何? なんの話?」

「えっ!?」

「なんか、人違いしてるんじゃない?キミに会うの、初めてだと思うけど?
たまたま、通りかかったらなんだか具合悪そうだし倒れそうに見えたから」

どういうこと・・・? やっぱり、さっきヒゲが言ってたように、あれは幻だったってこと?
じゃ、じゃぁ、これはどうだろ。

「今日、昼間公園でマキと会ってたでしょ?」

「マキ? 誰? 知らないなぁ。でも、公園には確かに行ったよ。
あんまり気持ちよくって、うたたねしちゃった。見られてたの? 恥ずかしいな」

二重まぶたのちょっと眠そうな丸い目。ウソを言ってるようには見えないかも。

わけがわかんない。体が震えて歯の根が合わなくなってくる。
くるくる頭のその男が、まるで子供の熱を測るみたいに、おでこに触ってきた。

「あれ? やっぱり熱があるみたいだよ? 早く家に帰ったほうがいいな。
高校生でしょ?」

「帰りたく・・ない・・・」

「どうして?家の人、心配してるんじゃない?」

こいつも・・・子供扱いしてる。さっきのヒゲと同じだ。
そう思ったら腹が立ってきたけど、とにかく寒気がしてうまくしゃべれない。

「ほっといて・・・家の人なんて・・・自分のことしか考えてないんだから・・・」

「なんでそんなふうに思うの?」

びっくりしたように、丸い目をさらに丸く見開いて男が言う。

「オヤジは・・・説教ばっかりだし・・・ババァはパートで疲れたとか愚痴ばっかで・・・」

なんか、無性に悔しくなってくる。あたし、なんで他人にこんなこと話してんだ?
クスリでおかしくなってるのかな? マジ、わけわかんない。

「あたしは・・・あんな風にいつも疲れたとかカネが無いとか言いながら暮らすのはイヤだから・・・
ラクしてお金稼いで、遊んでられればいいって・・・」

なんだよ、涙出てきちゃったよ。

「ふ~ん。でも、そんなふうに思われてるご両親は、悲しいね」

「は・・ぁ・・・?」

思わず男の顔を見る。本当に悲しそうに、目を伏せている。

「いつも当たり前みたいにあるものって、気付かないもんなんだね。
どうしても、派手でキラキラしたものに目が行っちゃうのも仕方ないけど。
気付かないのは、不幸だよ。」

急に男が立ち上がった。

「早く帰ったほうがいい。」

パトカーのサイレンが遠くで聞こえる。
自転車に乗ったおまわりさんが、なんだか慌ててるように走ってくる。

その時、突然男があたしを抱きしめた。な、何!?何すんの?
声も出せずにいると、おまわりさんの自転車が通り過ぎていく音が聞こえた。

男は、体を離すと低い声で言った。

「ここで僕に会ったことは誰にもナイショだよ? いいね?」

男の首にかかったクロスのペンダントが、にぶく月の色に光る。
顔は、蛍光灯の逆光線で見えない。

「世の中にはね、知らなくていいものもあるんだよ?
いいね? しばらくは夜遊びもやめるんだ。今日のことは忘れて。
次は、助けられないよ?」

え・・・? やっぱり、助けてくれたのはこいつだったの・・・?
じゃぁあの変態のカワハラってヤツはどうなったんだろう・・・?
だめだ・・・目眩がする・・・目がかすむ・・・。

羽・・・黒い羽が降ってくる・・・男がすばやく向きを変えた。
天使じゃなかったの・・・?悪魔だったの・・・?

気が付いて辺りを見回したとき、もう男はどこにもいなかった。
枯れ葉がカサカサと風にあおられて落ちてきている。

あたしは、ヨロヨロと立ち上がって、とにかく家に向かって歩き始めた。


・・・つづく


今回はちょっと短めでしたね。
もう、ここからの2話はほとんど「プロローグ」という感じで盛り上がりに欠けますが、
あと少しおつきあいくださいませ・・・。



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Date:2010/07/15
Trackback:0
Comment:4

Comment

*

ここからの2話がプロローグなんですか!?

てっきり終幕になるものだとばかり思っておりましたが。

どんな長編が見られるのか、今から楽しみです!

がんばってください!
2010/07/15 【ポール・ブリッツ】 URL #0MyT0dLg [編集] 

* ポール・ブリッツさんへ♪

す、すみませんっっ。
まだ続くんです(^^;

私が書きたかったのは、事件そのものではなかったものですからっっ(汗)
2010/07/15 【秋沙】 URL #mQop/nM. [編集] 

* おじゃまします

先日は拙ブログにお越し頂きありがとうございます。
小説と関係のない書き込みですので迷いましたが、一番新しい記事にコメントさせて頂きました。
拙い私の画を使って下さるということ、大変光栄に思います。
つきましては引越し先のブログのカテゴリー【持出許可済(著作権表記有)】にお持ち帰り用として準備させて頂きましたので、お時間のある時にお立ち寄り下さいませ。
すぐにとはいきませんが、秋沙さんのブログと「DOOR」も読ませて頂くつもりでいます。
これを機に、どうぞこれからもお気軽に遊びに来て下さいね。
(こちらのブログを拙ブログにリンク表示しようと思うですが、まだ勝手がよくわからず保留にしています。すみません。)

2010/07/19 【】 URL #41q05U9. [編集] 

* 銀さんへ♪

ご丁寧に、ありがとうございます。

早速、イラストをどのように使用するか試行錯誤しております。
銀さんのブログへの紹介文も書かせていただきたいと思っています。

またご面倒なことをお願いしたりするかもしれませんが・・・
これからよろしくお願いいたします。
2010/07/20 【秋沙 】 URL #- 

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