もうひとつの「DOOR」

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□ 月 (白昼夢「扉」スピンオフ) □

月 (8)

目が覚めたら、自分の部屋のベッドだった。カーテンの外は昼間の明るさ。
今、何時だろう?

ボーっとしてたら、部屋のドアが遠慮がちにあいて、ババァがそうっと顔を出した。

「ユミ! 目が覚めたの!?」

あたしの横に来ると、おでこに手で触る。
「よかった、だいぶ熱も下がったね。あんた、昨日丸一日眠ってたんだよ!?
おとといの夜遅く帰ってきたと思ったら玄関に倒れこんで・・・びっくりしたわよ。
お父さんと二人でここまで運ぶの大変だったんだから。
まったく、あんなに熱があるって言うのに、夜遊びなんかして。
お母さん、もう心配で心配で・・・」

一人でしゃべりまくった母親は、涙ぐんだ。
化粧ッ気の無い顔は、目の下にクマができている。シワが増えたなぁ・・・。

「おなかすいたんじゃない? 今、おかゆ持ってきてあげる」

どっこらしょ、と立ち上がると、部屋を出て行きながら大きな声で言う。。

「あなたーっ! ユミが気がつきましたよ~」

階段を上がってくる足音が聞こえて、今度はジジィ・・・父親が顔を出した。
部屋には入りにくいらしく、ドアのところで
「熱は・・・どうなんだ?」

階段の下から母親が「ほとんど下がりましたよ~」と答えている。

父親は「そうか・・・まぁ、もう少し休め」と言ってドアをしめた。

なんか拍子抜け。説教されるかと思った。
「じゃぁ、オレは仕事に行くぞ」と階段を降りながら言っているのが聞こえてくる。

丸一日寝てたって・・・? じゃぁ、あれから二日めってこと?


あの日、フラフラになりながら家を目指して歩いた。
玄関が見えたところまではなんとなく覚えているけれど、それからの事がわからない。
もう・・・全部、あの日のことは夢だったのかもしれない・・・。

母親がおかゆを持ってきた。ハッキリ言っておかゆキライなんだけど。
でも、確かにそんなもんしか食えない感じがする。
「食べられる・・・?」
心配そうに母親が覗き込む。仕方ない・・・。

ベッドに起き上がって一口食べてみた。途端に、おなかがすいていることを感じる。
あたしは、噛み締めるみたいにゆっくり、全部食べた。
なんだか・・・妙に甘い味がするような気がした。

食べ終わると体があったかくなって、また眠くなってきた。

「もう少し眠りなさい。」

母親が布団をかけてくれて、食器を持って部屋を出て行く。

あたしは思わず、その背中に向かって小さい声で言った。
「ごちそうさま・・・・お母さん・・・」

母親はびっくりしたように立ち止まって振り向いたが、ちょっと笑うとドアを閉めて
階段を下りていった。



それから2日間、熱が上がったり下がったりして、ほとんどベッドで過ごした。

その間パートを休んでいた母親が、昼ごはんを部屋に持ってきた時に言い出した。

「あんた・・・あの夜に着替えさせようとしたら・・・
服は破れてるし、傷もあって・・・お父さんにはびっくりするだろうから言わなかったけど・・・。
まさか、なんか危ない目にあったんじゃない・・・?」

そりゃ、気付くよね・・・どうしよう、何て言おう・・・。

あたしが黙っていると母親が続けた。

「夜遊びしたり派手な格好したりしたい気持ちもわかるけどね?
自分の体、傷つけるようなことはしないでよね・・・?」

「うん・・・なんでもない。もう・・・大丈夫・・・」

母親は、心配そうに微笑みながらあたしの顔を覗き込んでいる。
なんだか、すっごく申し訳ない気持ちになった。

「あんたが眠り続けてる時にね、おとうさん、オロオロしちゃって。
救急車呼んだほうがいいんじゃないか、とか、解熱剤はどこだとか大騒ぎしちゃってんの。
あんたが赤ちゃんのときに初めて熱を出した時みたいだったよ」

明るい声で話す母親。

・・・もう、いい。もういいよ。
なんか、たまらない気分になってきて涙が出そうになる。
あたしは、布団の中にもぐりこんだ。

「あ、ごめんね。少し眠る?」
「・・・うん」

母親が部屋を出て行ってから、あたしはしばらく布団をかぶって泣いた。




3日目、あたしは朝早く目を覚ました。

カーテンから差し込む朝日、すずめの声。
立ち上がって伸びをしてみる。もう、大丈夫みたいだ。

ゆっくりと制服に着替えて、支度をする。
休んでいる間に試験が近いから、と友達が持って来てくれたノートのコピー。
教科書や化粧ポーチ。ブランドものの財布・・・。

ヒゲの言葉を思い出す。
なんだか急に、その財布が安物のおもちゃみたいに見えてきた。
スクールかばんの中のそれは、ジャラジャラとストラップをつけた携帯や、
プリクラを貼りまくったノートなんかと、同じようなものに見える。


下に降りて行くと、母親が「あら?学校行くの?具合は?」と聞いた。

「うん・・・もう大丈夫。試験が近いし・・・」

「そう? じゃぁ、朝ごはん、できるだけ食べていきなさい」

父親は無関心を装うように新聞を広げて、ちらちらとあたしの顔色を見ている。
いつもなら、菓子パン一個ほおばって家を出るんだけど、時間もあるし、食卓に座ってみた。
真っ白なごはんや味噌汁から、湯気が立ってる。

なんだか、あったかくてくすぐったい・・・



ガッコウはいつものようにザワザワしていた。
つるんでる友達は、集まってきてくちぐちに
「もう治ったの?」「心配したよ~」「ずっと熱出てたの?」とか騒いでる。
適当に返事をしながら、なんだかフワフワした気持ちになってた。

固まって黄色い声で、夕べテレビでやってたドラマの話をするオンナの子達。
エロ本をかこんでひわいな笑いを浮かべてふざけあってる男子たち。
試験が近いから、必死に何か暗記をしてるやつもいる。

みんな、オトナの世界を知ってる気になって、悩みだのなんだの深刻そうに話してるけど、
オブラートにくるまれてるみたいに何かに守られた、小さな平和な世界に見えてくる。
制服っていう免罪符。若さっていう免罪符。

カワイイものやキラキラした安っぽいおもちゃが似合う、
甘酸っぱい匂いのする、くすぐったい世界。

あたしは初めて、家やガッコウが大切な、安心できる場所に思えてきていた。
ここにいて、大人の世界に憧れて、そうやって少しずつ背伸びしていけば
いつか本当の大人に、気付かないうちになっていくんだろうか。
でもそれは、なんだか照れくさくてまぶしくて、認めたくない気持ちだった。

「大切なものに、気付かないのは不幸だよ」
くるくるパーマの言葉が、ずっと心の中で響いてる。

・・・つづく

陳腐ですかね?蛇足ですかね??
もう・・・あとは「おまけ」だと思って読んでいただければ・・・。

次回でやっと最終回ですので・・・。



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Date:2010/07/20
Trackback:0
Comment:2

Comment

*

区切りをつけるにしろ、「どう区切りをつけるか」は非常に難しい問題であり技術が要求されると思います。
そこがうまくいくと「終わりよければすべてよし」で、いい読後感にひたれるんですがねえ。

え……わたしの小説? 

…………。

しくしく(爆)。
2010/07/20 【ポール・ブリッツ】 URL #0MyT0dLg [編集] 

* ポールさんへ♪

あまり練らずに行き当たりばったりで書いているのがばれてしまいますねぇ・・・(^^;

ちょっと言い訳をすれば、この後の最終話はちょっと「スピンオフ」らしいプロローグになっておりますので・・・(汗)
この回だけは、ちょっと余分で説明的過ぎたかなぁと反省しきりです。でも、書き直すのがめんどくさいのねぇ(笑)。

小説の世界は本当に深くて、底が見えませんね(しくしく)
2010/07/20 【秋沙 】 URL #mQop/nM. [編集] 

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