もうひとつの「DOOR」

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□ 月 (白昼夢「扉」スピンオフ) □

月 (3)

男は、ジーパンのポケットに軽く手をかけながら公園を出て、人通りの多い道をゆったりと泳ぐように歩いてく。
なのに小走りにならないと追い付けない。
足の長さの違いか? くやしいなぁ、もう。

あたしは、少し離れてついてく。背が高いしあのくるくるパーマだから、人混みでもすぐわかって便利だけどね。

だけど、こんなことして、なんになるっつーんだろ。
でも、気になるんだよね、あの男。
あの夜、川のところで見たときにはちょっとぞっとするくらい無表情で冷たい感じがしたのに、
さっきベンチで目を覚ましたときは、ガキみたいにぼーっとしててさ。
マキのカレシかもしんないし、それにしてはなんか変な雰囲気だったし。

「!?」

突然、男が人ごみの中で立ち止まった。

やべ!ばれた?こっち向いたらどうしよう。隠れるトコもないよぉ。
何してんだ? まっすぐ前向いたままで。
あ、携帯か。

ちょっとの間、そのまま通話していた男は、また電話をしまうと歩き出した。
よかった、全く振り向かなかったから、気付かれてないっぽい。
気付くわけないけどね。だってあん時もあたしの顔なんか見てなかっただろうし。

テキトーに距離をおいてしばらくついていくと、今度は急に左に曲がって細い路地に入っていく。
あたしはとっさに、走ってその路地の入り口へ向かった。

ここだ! 見失っちゃう!
急いで曲がろうとした時、

「うわっ!」
「おぉーっと!」

どしん! と路地から出てこようとした人にぶつかった。
ガシャガシャガシャーン!と音がして、その人が持ってたらしい袋から、
うすいプラスチックのケースに入ったCDみたいなディスクが、たくさんアスファルトにばらまかれた。

「おっと! こりゃぁまいったなぁ。大変だ。
すまないねぇおじょうちゃん。ケガしなかったかい?」

「あ・・・いえ・・・」

っんだよぉ、このおっさん。
えらいイキオイで出てきやがって・・・。

「いやぁほんとに悪かったねぇ。おじょうちゃん。あ、手伝ってくれるかい?」

ヒゲ面にサングラスのずーずーしそうな小太りのおっさんが、大げさに騒ぎながらディスクを拾い集めている。
仕方ないので、遠くまで飛ばされてた2~3枚を拾ってあげた。
手渡すと、
「いやぁすまなかったねぇ。ありがとう~」と、紙袋にしまっている。

「いえ・・・こちらこそ・・・」

慌てて路地の奥のほうへ行こうとしたが、もうそこには男の姿はなかった。
あ~あ。
ったくもう、このおっさんのせいで・・・。

あれ?

振り向いてみたら、そのおっさんの姿も消えていた。
さっきの通りに出てみても、もうそれらしき人は見えない。

なんだったんだ?

・・・まぁ、いっか。
ちょっとはヒマつぶしになったかな。
探偵みたいでドキドキした。意外に早く終わっちゃったのが残念だけど。

さて、これからどうすっかな~、と思っていたら携帯が鳴った。
ミユキからだ。

「ユミ~? 最近顔みせないじゃん。どうした~? ちっと心配ぃ~」
「あ~、ちょっとね~。バイトもしてないし、カネないからさぁ~」
「だろうね~。でもそんだけならよかった~」
「だろうねって? なに?」
「あれ~?ヤスやばいことになってんの、知らない~?」
「え? やばい? パクられた?」

この前死んだおっさんのことで、やっぱりウリのあっせんがバレたのかな?
ってことは、私もやばいんじゃ・・・?
急にドキドキしてきた。

「え? ちがうよ~。もっとやばいって。ヤスね、なんか変なクスリやってたらしくて~。」
「クスリ?」
「そう。なんか超ラリちゃって~もう廃人? とかって」
「まじで!?」

でも、1週間前に電話で話した時は、べつにフツーだった。
そんなに急に、クスリって中毒になるもん?
ミユキはまだ、大げさに何かしゃべっている。

「そんでさぁ、警察に保護されたらしいんだけどぉ、も~なんかぼろぼろ?何言ってるかわかんないらしくてソク病院だって~。
でさ、超びっくらこいたんだけどぉ、何人かヤスの紹介でウリやってる子、クスリを売られてたらしくってさ。ユミ、あんた大丈夫だった?」
「え~? うん。クスリの話なんて出たことなかった~」
「まじ~?超ラッキーじゃん、よかったね~」

そんなことになってたのかぁ。
よかったぁ、あたしんとこには警察とか来なくって。
携帯のリレキとか大丈夫だったんかな?ま、いっか。

「ね、もうケイサツとかあんまりいなくなってきたし~、そろそろ遊びに出ておいでよ~」
「ん~でもカネがなぁ。」
「よぉ~し! 今日こそマックおごっちゃる~!」
「まじで~?」

行っちゃおうかな。
1週間も遊んでないと、よっきゅーふまんがたまっちゃうしね~。
ストレスはよくない。うん、そうだ。

「よ~し、行っちゃう~。マジおごってよ~?」

久しぶりに遊べるのがうれしくって、あたしはワクワクしながら電話を切った。


つづく





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Date:2010/07/07
Trackback:0
Comment:6

Comment

* はじめまして

読ませてもらいました。

面白いです。

今後どうなるか楽しみです。

というより、今の女子高生はこういうしゃべりかたをするのか、と勉強になりました。わたしが書くとどうも古風になるので……。
2010/07/07 【ポール・ブリッツ】 URL #0MyT0dLg [編集] 

* ありがとうございます!

★ポール・ブリッツさん
読んでいただいてありがとうございます!感激です。
limeさんのように予想外の展開を見せるようなお話ではないので申し訳ありませんが・・・
陽と坂木の知らないところでこんなことがおきてたりもするんだ・・・?とちょっと感じていただければ幸いです。

いまどきの高校生の会話、こんなもんじゃないらしいです(^^;
私は20代の女の子の会話を参考にしたのですが、彼女いわく、女子高生の言葉にはもっとわけのわからない略語とか飛び出すそうで・・・。
2010/07/07 【秋沙】 URL #mQop/nM. [編集] 

* 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010/07/07 【】  # 

* 鍵コメさんへ♪

こちらこそ、ありがとうございます!

これからもよろしくお願いいたします♪
鍵コメさんの文章、とっても好きですよ(^^)
2010/07/07 【秋沙】 URL #mQop/nM. [編集] 

*

ほうほう。これが秋沙さん的DOORですな。笑。
オリジナルとはまた違う視点で楽しめますね。
執筆がんばって下さい。

ところで相互リンクの件、OKです。
これからよろしくお願いします。
2010/07/07 【ヒロハル】 URL #- 

* ヒロハルさんへ♪

「月」は完全にユミの一人称ですから、あまり陽と坂木は登場させられませんでした(^^;
スピンオフとは言え、まるっきりべつものになっちゃってますかね。

相互リンク、ありがとうございます!
早速貼らせていただきます。
これからも読みに行かせていただきますね。
よろしくお願いします(^^)
2010/07/07 【秋沙】 URL #mQop/nM. [編集] 

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