もうひとつの「DOOR」

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□ 霧の物語 □

霧の物語 2

*モバイルからの閲覧では、一部表記が崩れます。ご了承ください。





 まわりはいつのまにか、深い霧に包まれていた。すぐ近くにある、白樺の木と青い葉しか見えない。
 
「まったくママったらケチなんだから。まだ一度も教わったこと無いからって、弾いちゃダメだなんて。でもちょっとだけ。おうちの外でなら、ママやパパに聞こえないわよね。」

黒いケースを開けると、買いたての、ぴかぴかのバイオリンが顔を出した。
私はドキドキしながら取り出してみる。

「ヨイショ。むずかしいな。」

テレビなどで見たようにやってみるけれど、なかなかきちんと持てない。
それに音を出してみても、何が何だかサッパリわからなかった。

「やーめた。」

バイオリンをしまってからハッとした。
帰り道がわからない。
どっちを見ても、白樺の木と、白く立ち込める霧しか見えない。

仕方なく私は、あてもなく歩き始めた。
霧はサラサラと流れて、私の顔や髪がしっとりと濡れている。


どのくらい歩いただろうか。
不安で泣き出しそうになった時、どこからかピアノの音が霧と一緒に流れてきた。

私の足は、言うまでもなく音のする方へ向かっていった。

霧の向こうに赤い屋根の家が建っているのが見えてきた。
ひとつだけ窓が開いている。
ピアノの音はそこから聞こえてきた。

私は窓のそばへ歩み寄って、背伸びをしてみた。

白いグランドピアノの前で、男の子がピアノを弾いている。
17、8、9・・・18歳くらいかな。優しそうな青年だった。

「私、その曲知ってるわ。」

不意にピアノの音が止み、男の子が振り向いた。
そして立ち上がると、窓のところへやってきた。

すらりとスマートで、さわやかな感じがする。
ちょっと長めの髪はまっすぐで、見るからにサラッとしていた。

「ドビュッシー作曲『霧』。おチビちゃん、どうしてこの曲を知っているの?」

「いつもママが弾いているのよ。それでね、あたしの名前も『霧絵』っていうの。」

「ふーん、霧絵ちゃんかぁ。バイオリン、弾けるの?」

ふっと私の手元を見て、男の子は言った。

「う、うん、ちょっとだけ。」

そこでやめておけばいいのに、私は、バイオリンを弾き始めてしまった。

男の子は、始めはこらえていたけれど、しまいにはお腹を抱えて笑い出した。

「どうしたの? なんで笑うの、お兄ちゃん。」

「な、なんでもない。バイオリン、じょ、上手だね。ねぇ霧絵ちゃん、こんな歌知ってる?」

そう言って咳払いをし、笑いを沈めると、男の子は歌い始めた。

「♪わたしゃ音楽家 山の子リス♪」

「知ってる知ってる。♪上手にバイオリン弾いてみましょう♪でしょ?」

「そうそう。」

男の子はピアノの前に座って、伴奏を弾き始めた。
それから私とその男の子は、歌ったりおしゃべりをしたり、時の経つのを忘れていた。

 男の子が「霧」を弾いている時だった。
 
「あたし、お兄ちゃんのお嫁さんになる!」

「えっ?」

ピアノの音が止んだ。――――沈黙――――

そして、男の子はふっと微笑んだ。
「僕も霧絵ちゃんをお嫁にほしいけど、霧絵ちゃんが僕と同じ18歳になった時、僕は32歳のおじさんになっちゃってるよ。」

「そうなの?」

むずかしくてよくわかんなかった。
でも、私は思いついた。

「あたしが18歳になるまでずっと、お兄ちゃんが18歳でいればいいのよ。
 ねっ、そうでしょう?」
 
「うーん、出来るかなぁ。」

「できるわよ。きっと待っててね。あたしが18歳になるまでよ。」


   ・・・18歳になるまでよ
        18歳になるまでよ
          18歳になるまでよ
            18歳に・・・・・・
            


     (つづく)





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 一話完結のお話を、無理矢理3話に分けただけなので、べつにもったいぶることもないかぁ・・・と連続up(^^;

時間稼ぎにもなりゃしない。自分の首を絞めているような気もします・・・(笑)


次回、完結です。
べつに、どうということもないラストです。
いや、もやもやが残るだけかも。

ま、まぁ、それも、この「霧」という曲みたいだなぁということで笑ってくださいm(__)m
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Date:2011/03/06
Trackback:0
Comment:4
Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

Comment

* No Title

可愛らしい展開です♪
この女の子はこのとき4歳だったんですよね?
4歳で18歳に恋するなんて、なんておませさん(*^_^*)
そうね、おばさんは25歳くらいの方がいいな・・・(って、だれも訊いてませんから)

優しそうな少年ですね。
彼は、霧絵ちゃんが18になるまで待っててくれるかな??

それにしても、情景描写や、想像力をかきたてるところ、とても中学生の作品とは思えない!
なんで、もっともっと書かなかったんですか~。
ああ、授業だったからか・・・・。
もったいない(>_<)
2011/03/06 【lime】 URL #GCA3nAmE [編集] 

* No Title

わたしの中学生時の作品と比べると……よかったわたしの作品処分しといて(笑)。
2011/03/06 【ポール・ブリッツ】 URL #0MyT0dLg [編集] 

* limeさんへ♪

あははは~~~~limeさん、訊いてないよ(笑)

だけど、今になって考えてみれば、自分18歳で相手が32歳、全然ありだと思うんですけどどうでしょう?(笑)


中学生の頃に書いた原文が、今は手元に残っていないので(もしかしたら実家にあるかもしれないけど)、ワープロで打ちなおした時にどの程度推敲したのかよく覚えてないんですよ。
もしかしたら、結構直しちゃってるかもしれない(^^;

私の願望が混ざった記憶では、ラスト部分のテンポが悪いのでそこを直したくらいだったと思うんですが・・・。

なんででしょうね、これ以降「小説を書きたい」と思ったことはほとんど無かったです。
演劇部だったから脚本を書きたいと思ったことは、中学生の時にはあったけど、高校生になってから全然。
たぶん、この頃から、自分の発想の貧困さには諦めの気持ちがあったと思われます(笑)
2011/03/06 【秋沙 】 URL #mQop/nM. [編集] 

* ポールさんへ♪

んん~~~~?
それは、もしも比べたら私がひどく落ち込んでしまうから、ではないんですかぁ?(^^)

たぶん、ラストを読んだら「勝ったな」と思えること請け合いです(笑)
2011/03/06 【秋沙 】 URL #mQop/nM. [編集] 

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