もうひとつの「DOOR」

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□ 霧の物語 □

霧の物語 3

*モバイルからの閲覧では、一部表記が崩れます。ご了承ください。





 ―――――気が付くと私は、ヤカンの前で居眠りをしていた。
 
「夢か・・・。」

ふと髪を触ると、しっとり濡れている。
ヤカンの口から出る湯気のせいだろう。


 思い出した。
 
あれは、ママが倒れる前の日だった。
ママが倒れたショックで忘れていたんだ。
ヤカンの音のせいで思い出して、夢を見たんだ・・・。

立ち上がろうとして気付くと、私は片手にしっかりと、壊れたバイオリンをつかんでいた。


「?」


  ピ ン ポ ー ン
  
玄関のチャイムが、ピアノの音のように鳴った。

康信くんだ!!

急いでドアを開けると、

「やぁ、久しぶり。」

予想通り、康信くんが微笑んでいた。

私は急に、友達に彼のことを恋人だと言ってしまったことを思い出し、顔が熱くなってうつむいた。

「どうしたの?」

「ん、ここまで走ってきたら、熱くなっちゃった。」

「ふーん、そう?」

康信くんの顔がまともに見られない。

ともかく、ママのピアノがある部屋にあがってもらって、私はお茶をいれにキッチンへ行った。

「キャーン、私のバカ。なんで赤くなるのよー。」

必死で落ち着こうと思って震える手でお茶を入れ、お盆に載せようとした時、ピアノの音が聞こえてきた。

知らない曲だけれど、どことなく、ママの弾き方に似ている・・・?

急いで紅茶カップをお盆に載せ、小走りに部屋の前まで行きドアを開けるのと同時に、
「康信くん、ピアノ弾けるのね。知らなかっ・・・」

彼が顔を上げた。
私はお盆を持ったまま、その場に立ちすくんでいた。

 似ている!!

夢の中の、いや、4歳の時に会ったあの男の子に!

でも、彼は今、30歳・・・過ぎているはずだ、

紅茶カップが、お盆の上でカチャカチャと鳴っている。

「や、康信くん・・・私今まで聞いたことなかったんだけど、康信くんって、今、い、いくつなの?」

康信くんは、いつもよりもっと優しく微笑んで言った。

「来年、19歳になれる。
 今年きみが、僕と同じ18歳になったからね。」
 
    ガッシャ――――ン

私の手からスローモーションのようにお盆が落ちて、紅茶のポットやカップが砕け散る音が響き渡った。


 この人は、
 
 
 ―――――きっと待っててね。
        あたしが18歳になるまでよ。―――――
        
私はボンヤリと、その言葉を思い出していた。

あの、霧の日の出来事が、走馬灯のようにくるくると回り始める。

「康信くん・・・。」


彼は、ピアノを弾き始めた。


 曲は、「霧」だった。
 
 
 


    ~ 霧の物語  Fine ~





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Information

Date:2011/03/07
Trackback:0
Comment:8
Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

Comment

* No Title

いやいやいや!
素晴らしかったです!
だって、だって、ちゃんと伏線が張られてる!
びっくりですよ。
中学生でここまで書けたら怖いもんなしです!
雰囲気作りもばっちりだし、霧のしっとり感、別荘の木と緑の匂い、静けさまで行間から読みとれます。
夢見がちな少女の乙女心もね。

うん。いいお話でした。
まだ読みたいな。もう、他に書いて無いんですか?(催促・笑)
2011/03/07 【lime】 URL #GCA3nAmE [編集] 

* limeさんへ♪

そういえば、ちゃんと伏線が張られてますね(笑)
もしかしたら、構成的には今の私よりしっかり作っているかも(^^;

情景の描写に関しては、あとがきに書いたように実体験だからこそ書けたんでしょうねぇ。
私自身が夢見がちな少女だったかどうかはべつとして(笑)。

しかし、一つ一つのディテールに関しては「あとがき」にあるように思い当たることが全てあるのですが、(バイオリンは弾いたことがないのですが、ちょうど従姉妹が習い始めていて、小さな子供用のバイオリンを見せてもらった時にその綺麗さと可愛らしさに感動したせいだと思います)、なぜ、こんなふうに男の子の年齢に追いつくまで待っていてもらう話にしたのかは、自分でもまるっきり思い出せないんです。

もっと書いていれば良かったですかねぇ(^^;
残念ながら、これ以外には作品らしい作品は本当にひとつもありません。
2011/03/07 【秋沙 】 URL #mQop/nM. [編集] 

* こんばんは^^

んがっ!?v-405
ひゃーーー! とんでもない終わり方に唖然・・・・・・・

最初、普通の邂逅か恋愛モノなのかな?と思ってたら・・・・

かなり「ホラー」v-399v-399
しかも、淡々としてるだけにインパクトが凄くて、鳥肌が一気に立ちました。
面白かったですv-398

あとがき読んで帰りますね~~!
2011/03/07 【】 URL #9dnUgMTg [編集] 

* 蘭さんへ♪

ぎゃはははは!!
私が「ファンタジー小説?」と前置きをしてしまったせいか、皆さん、「ロマンチック」とか「少女の乙女心」とかってコメントをくださっていたのに、
ここで、まさかの「ホラー」発言!!ヾ(@^▽^@)ノ

そうですよね、よく考えてみたら、(いや考えなくても)ホラーですよね!立派にホラーです!!
もしかしたら、書かれていないラストの続きには、この康信くん、牙が生えてくるとか爪が伸びるとか(^^;

オチがないとかひねりがないとかじゃなくて、もう、すっとーーーんと異次元に落っこちちゃった、みたいな(^^;

いやー、蘭さん素晴らしい!!大好き!!(笑)
2011/03/08 【秋沙 】 URL #mQop/nM. [編集] 

* 幻想ロマン!

我が愛する『Sound horizon』が唄にしそうなロマンです。そうか、待っててくれたのか。そういう時空も時間も超えるロマンって良いなぁ。
それもこれも、物語だから出来る。そこに違和感なく浸れる。本来、物語ってそういうもの。
その空間でのみ生きられるロマンが息づく場所。
とてもとても素敵でした。
瑞々しい、若い感性だからこそ、生まれた世界ですね!
fateのリンク先の『プリンと乳酸菌』さんの作品とどこか通じるものがある気がしました(^^)

2011/11/15 【fate】 URL #- 

* fateさんへ♪

いやはや、ものすごいパラレルワールドでしたでしょ?(笑)

確かに、邪気の無い子供だったから書けたのかも知れませんねぇ。
今だったら「なんで?」とか「どうやって?」とかいろいろ考えてしまって、ロマンもへったくれもなくなっちゃいますもの。

なんか、「物語」だからこその、思いっきり時空を越えたロマンスとか、書いてみたくなりました(^^)

ありがとう、fateさん♪
2011/11/15 【秋沙 】 URL #mQop/nM. [編集] 

* 初コメントです

書き込みさせていただくのははじめてですが、limeさんの小説の「もうひとつの……」を書かれていますのは存じておりました。

limeさんの小説はリクシリーズと、ラビット……でしたか、そのあたりを読ませていただいていまして、まだ秋沙さんがスピンオフを書いておられる物語にはたどりついていませんでした。

それでもなんとなく訪問させていただいて、オリジナル小説があると知って拝読しました。

中学生のときに書かれたんですか? すごーい。
私は異世界ファンタジーみたいなのは苦手なんですけど、こんなふうな世界は好きです。
たしかに読みようによってはホラーでもありますが、そこもまたいい雰囲気ですよね。

アマチュアオーケストラでヴァイオリンを弾いている、もと文学少女の友人がいますので、秋沙さんも彼女のような方なのかなと想像しながら、世界に浸らせていただきました。

limeさんのもと小説を読ませてもらってから、「もうひとつの」のほうも読ませていただきますね。
長文、失礼しました。
2012/10/07 【あかね】 URL #- 

* あかねさんへ(^O^)

返信が遅くなり、大変失礼いたしました(>_<)

次の記事に書きましたが、パソコンが壊れておりましてネットができず(T_T)
携帯から長文を書くのが非常に苦手でして・・・m(_ _)m

あかねさんのお名前は、よくお見かけしておりました。コメントいただけて本当に嬉しいです。

パソコンが直ったら(>_<)またゆっくりお話させていただきたいですー。
2012/10/28 【秋沙】 URL #mQop/nM. [編集] 

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