もうひとつの「DOOR」

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秋沙 

Author:秋沙 
limeさんによる小説ブログDOORの中の「白昼夢シリーズ」にスピンオフを書かせていただいてます。「陽」と「坂木」のちょっと違った側面や関わった人達の物語を楽しんでいただけたら・・・。

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月 ~あらすじと解説~

 このお話は、limeさん白昼夢シリーズの中の「扉」をもとにしています。
まだお読みになっていないかたはぜひ、そちらを先に・・・。

 ユミは、売春でお小遣い稼ぎをしている高校生。
家や学校に漠然とした不満を持ちながらも、軽いノリで毎日を過ごしているある意味、「最近いがちな」女の子。
「扉」の主人公のマキとは同級生だが、一本筋の通った雰囲気のマキとは言葉を交わすこともなく、世界が違うと言う雰囲気。
ところがある日、すぐそばにあった危険に自ら足を踏み入れてしまい・・・。

「白昼夢」の登場人物である陽と坂木。
この二人の「仕事」は「正義」という名を借りた「悪」かもしれない。
けれど、二人も気づかないうちにいろいろな人の人生に明るい希望も落としていっている・・・ということを書いてあげたくなったのかもしれません。

つたない文章で、limeさんの創り上げた世界を壊してしまっているかもしれませんが、
この小説を書くことを快諾してくださったimeさん、本当にありがとうございます!




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月 (1)

「お~っす、ユミ! なんだよ~シケた面してんじゃ~ん」

あ~、こいつ、なんだっけ名前。ま、いっか。

「べっつに~。たいしことないよぉ。バイバ~イ。」

真夜中の盛り場には、顔見知りがたくさんいる。
約束なんかしてなくても、誰かに会える。
あたしは、ここが好きだ。

ガッコウなんかつまんない。一応、マジメに登校して、友達ともつるんでるけど、
話す内容なんて、好きなセンパイのこととかテレビのアイドルとかばっかで退屈。
家はもっとサイアク。
ババァはいっつも不機嫌で、パートの愚痴とか、どっか具合が悪いとかしか言わない。
ジジィはもっとひどくて、人の顔見りゃ説教したがるし。

ここに来てる時だけ、なんか、あたしがあたしでいられる気がする。
ネオンがあたしを呼んでるってか?(笑)

「あ、ユミ来たじゃ~ん。今日はバイトじゃないの~?」
ゲーセンには何人か、いつもの連中がたまっていた。
「なんかね~、ヤバそうだったから中止~」
「ふ~ん?」
「ミユキー、あんた今日すっごいまつげ~。」
「これ、マジすごいっしょ~? いいマスカラみっけたんだよぉ。安いし~」
「へぇ~。どこのやつ?」
「『マツキヨ』にあるよ~。行ってみる~? 教えたげるよ~」
「あ~、今日はパス。バイト代入んなかったから、マジボンビー」
「なんだよそれ~だっせ~! しょうがね~なぁ。マックおごったろうか?」
「マジ~!? うれし~」

バイトって言うのは、ウリ(売春)のことだ。
高校生中心のウリをあっせん(どういう漢字書くか知らないけど)してるヤスって呼ばれてるオトコから紹介してもらって、おこづかい稼ぎしてる。
今日の相手は、いい歳こいたおっさんだったみたいだ。
おっさんの相手すんのは正直キモイけど、たいがいお金をたくさんくれるから
ちょっとの間ガマンすりゃいい。

だけど今日はツイてない。
待ち合わせのラブホの前まで行ったら、なんかパトカーとかいっぱい来ちゃってて
人だかりがしてた。
野次馬が話してたのを聞いた感じだと、部屋で死んでる人が発見されたって。
ラブホで死ぬなんて、恥ずかしいヤツ。
おかげで、バイトがパーになった。
約束してた男はそれっきり連絡してこないけど、まぁいいか。

・・・と思っていたらケータイが鳴った。
ウリのバイト専用のほうじゃなくて、あたしの携帯。
画面を見ると、ヤスからだった。
「もしも~し」
「あ、ユミ? ちょっとやべぇことになってるからさ、お前、バイト用のケータイ、
今すぐ川かなんかに捨てろ」
「へ?」
「なんかよぉ、おまえが今日会うはずだったおやじが、ラブホで心臓麻痺で
死んでたらしいんだよ。で、お前のケータイでそのおっさんとやり取りしただろ?
名義はオレになってるからお前だってバレないと思うけど、オレんとこには
捜査が入るかもしんないから。わかったな。また連絡すっから、しばらくはおまえから
してくんなよ」

一気にそんだけしゃべると、ヤスは一方的に電話を切った。
声がマジだったから、冗談じゃなさそうだ。
なんだそれ。ラブホで死んでたのは、あたしが会うはずだったおっさん?
アホらしい。
でも・・・確かにヤバイかもしんないな。・・・捨てよ。

川・・・ね。
川っていうよりドブみたいだけど、裏通りのほうにあったな。
一応、川沿いが公園みたくなってるところ。

ミユキがなんか騒いでる。
「ね~ユミ~! マックは~?」
「ごめ~ん。なんかね、よくわかんないけど、用事ができちったぁ」
「あ、そう? んじゃまたね~」

ミユキと別れて、裏通りから川沿いの公園に入る。
ベンチや芝生の上でいちゃいちゃしてるカップルがたくさんいる。
おいおい、そんなことまでしちゃってていいのかよ。

あたしは、そういうやつらがあまりいない、茂みの影になったところまで行って
暗い水の中に携帯を落とした。

どぼん!と予想以上に大きな音がしてちょっとビクッとする。
ま、誰も気付かないよね・・・?

周りを見回した時、一人の男に視線が止まった。
川のフェンスによっかかってタバコを吸いながら、携帯を見ている。

安っぽい蛍光灯の光に照らされて、くるくるした髪が緑色に光っているように見える。
遠くのネオンの赤い光で、ジーパンの長い足と革ジャンがところどころ血の色みたい。
携帯の画面に照らされた顔は、青白くて無表情だ。

男はふっと顔を上げてこっちを見た。
やばい。目が合った。さっきケータイ捨てたの、見られたかな。
ちょっとトロンとしたような目。パーマかくせっ毛かわからないけど、ウェーブのかかった前髪が
おでこに少しかかっている。

あたしは一瞬、体が固まったような気がしたけど、その男はすぐに興味なさそうに目線をはずすと、繁華街の方へ歩いて行ってしまった。
ちょっとだるそうに、背中を丸め気味で。

「なんだ? アイツ・・・」

べつに、気にすることもないか。
見られたわけじゃなさそうだし。
でも、こんなところ一人でぶらぶらするようなヤツ、あんまりいない。
街で遊んでるやつらとも違うみたいだし。彼女にフラれでもしたのかな。

それにしても、今日は変な日だ。
なんかもう、遊ぶ気もなくなっちゃったな。
仕方ない。家にでも帰るか。警察とか多そうだし。
ツイてないなぁ。

あぁ、空が明るいと思ったら満月か。街にいるとネオンが明るいし気付かなかった。

真っ白に冷たく光る月を眺めて、ため息をつきながら家に向かう途中で、
あたしはその不思議な男のことなんてすっかり忘れていた。




     つづく





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ごあいさつ ~私とlimeさんと、「DOOR」

 はじめましての方は、はじめまして。あきさと申します。

 小説ブログを立ち上げてしまいましたが、特に小説家志望と言うわけでもありません。
ただ、かっこよく言うならば「表現者」でいたいと常に思っているただの主婦であります。

 トップページにも書いてあるとおり、このブログはlimeさんの小説ブログ「DOOR」のスピンオフを掲載していく予定です。
ハッキリ言って、私はlimeさんのファンです(笑)。

 limeさんとの出会いはまるっきり小説とは関係ないところでして、実際にお会いしたこともありますがネット友達です。
その出会いの場であるネット掲示板で、ひょんなきっかけでちょっとおふざけの文章を私が書いたところからlimeさんの創作意欲に火がついたらしく(笑)、白昼夢シリーズを書いてくださるようになりました。

 初めは、限られた掲示板の仲間だけで読んで楽しんでおりました。
そのうちに、すっかりその世界観に魅せられてしまった私は、自分で一からお話を作ることを投げ出して、白昼夢シリーズのスピンオフを書かせていただくことに夢中になってしまったわけです。

 limeさんのお話はすばらしく、もっと多くの人に読んでもらっていいはずだ・・・と常々思っていたので、limeさんがご自分のブログを立ち上げたときにはワクワクしました。

 私のスピンオフは、limeさんのように簡潔な文章で複雑なプロットをすすめていくような技術はまったくなく、説明的でだらだらとした文章でして、お恥ずかしいばかりなのですが・・・。
その上、単独で読んだら、登場人物が誰なのか、どうしてこうなるのか、さっぱりわからない。
limeさんからは独立することができないものばかりです。

 しかし、ずうずうしくもこのブログを立ち上げてしまいました。

 読みにくい文章ではありますが、「白昼夢」本編には出てこない、ちょっととぼけた陽や坂木の姿、そんなものを感じていただけたら幸いです。

 もし、もしも、もっと私が書くことができれば、それ以外のお話も掲載するかもしれませんが、今はスピンオフだけでいっぱいいっぱい・・・(笑)。

 limeさんのところから、時々ふらっと様子を見に来ていただければ幸いでございます。

 長々と読んでくださいましてありがとうございました。

月 (2)

「あ~あ、ヒマだなぁ。なんか面白いことないかなぁ」

公園の芝生に座り込んで、あたしは独り言を言った。

あれから1週間、ヤスからは何も連絡がない。
バイトができないから金もないし、一応、街に遊びに行くのもガマンしてる。

ラブホで死んだ男の事が気になって、ニュースとか新聞とか見てみたけど
べつにそれらしき記事も無かったし。
心臓麻痺で死んでたなんて、たいしたことじゃないからかな。
だったら、そろそろ夜遊び復活してもいいかなぁ・・・。

休みの日に遊びにいけないなんてありえない。
家にいるとジジィが勉強しろとか化粧がハデだとかうるせーし。
だからって公園で親子連れに混ざってボーッとしてるっつーのもガラじゃねーんだよなあ。
出会い系とか、やっちまおうかな?

なんとなく、噴水のあたりを歩いている時、遠くに見覚えのある顔をみつけた。

「あれ? マキじゃん」

マキはクラスが一緒だけど、ほとんどしゃべったことがない。
なんか、変わってるんだよね。誰ともつるんでないし、時々ガッコウ来なくなるし。
目立たないっていうより、目立たないようにしてるって感じ。けっこうカワイイ顔なのにさ。
べつに派手なかっこも化粧もしてないんだけど、夜の街で何回か見かけたことがある。
でも、そんなときもいつも一人でいる。

・・・会っても何話していいかわかんないから、隠れとこ。

あたしが噴水の影になるようにして様子を見ていたら、マキはちょっと立ち止まってどこかをじっと見ている。そしてそっちのほうに歩き始めた。
向かってる先を見ると、ベンチに一人の男が眠っている。

どっかで見たような男だな・・・? 誰だっけ?

ん・・・? マキなにやってんだ?
こっちに背中を向けているから顔は見えないけど、男のほっぺたに手をあてている。

カレシなのかな?
それにしてもあのくるくるした髪の毛・・・

「あ!」

思い出した。
あの夜、携帯を川に捨てた時に見た男かも。
暗かったからよくわからないけど、あのくるくるパーマは、そうなんじゃないか?

それにしても、マキはなにしてるんだろ。男を起こすわけじゃなさそうだし。

二人の様子を見ていると、急にまわりの子供たちの声とか車の音が遠くなって
ざわざわと風の音だけが聞こえてくるような、変な感じがした。

ずいぶん長いことそうしていたような、一瞬だったような、よくわかんない不思議な時間が流れて、マキは男から手を離すとしばらくそこで何かしていたけど、そのうち男のほっぺたにキスをして一人でどっかへ行っちゃった。
ベンチにはまだ眠っている男だけ。

やっぱりカレシなのかな・・?
なんか、けっこうおじさんにも見えるけど?
まぁ、マキだったらそういうのもありえるかも?

あたしが、それでも遠くから見ていたら、男がふっと目をさました。
腕時計を見てから眠そうな丸い目で少しきょろきょろして伸びをすると、しばらくボーっとしている。そのうち、胸ポケットからメモみたいなものを出して、読み始めた。

なんか、おじさんなのにかわいく見えるなぁ、と変なことを考えて
くすっと笑ってしまう。

男はそのメモをまたポケットに戻すと、くるくるパーマをくしゃっとかき上げて、立ち上がってまた小さく伸びをした。
へぇ・・・結構背が高くて、足長いじゃん。
もしほんとに、マキのカレシなら、並んでるとけっこー迫力のカップルかも。

そんなことを考えながら見ていたら、そいつは携帯をちらっとのぞいて、歩き始めた。

なんでだかわかんないけど、あたしはその男に興味がわいて、後をつけてみることにした。
なんでだろ。まぁいっか。どうせヒマだし。


・・・つづく




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拙い二次小説だし必要ないかなと思っていたのですが、万が一にでもこちらがきっかけで本家本元のDOORに読者さんが増えてくれたら、光栄なことだと思いまして。

まず、そんなことは無いと思いますが(^_^;)


とーとつにトップページにバナーを貼りましたので、ぽちっとしていただけたら身に余る光栄でございますっ。
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